認知症の人が痛みを感じにくい理由と、介護で見逃せないサインとは

認知症
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認知症の方を介護していて「本人が何も言わないから大丈夫」と思っていたら、実は重大な病気が隠れていた——そんなケースが少なくありません。認知症が進行すると、痛みや不快感を言葉にできなくなるだけでなく、痛みそのものを感じにくくなることがあります。本記事では、実際の体験談をもとに、認知症と痛みの関係・注意すべき身体サイン・介護保険サービスの活用法をわかりやすく解説します。

▼ 介護についてわかりやすく学びたい方には、こちらの本も参考になります。


体験談:胃潰瘍の痛みを感じなかった母のこと

軽度のアルツハイマー型認知症と診断されてから約5年が経ったころ、母が胃潰瘍を患いました。

当時、私は県外に住んでおり、きっかけは、ケアマネージャーから私への連絡でした。通所していたリハビリ特化型デイサービスからケアマネジャーへ報告があったそうです。

ケアマネ
ケアマネ

 デイサービスからの連絡で、

体重が半年で8kg減っているそうで…

一度検査した方いいですよ。

若い頃から健康で元気で働き者。内臓疾患は全くなかった母。

5日間帰省し、主治医に相談したところ貧血もあり、胃腸科専門病院を紹介してもらいました。

胃腸科専門病院に予約をし、翌月また帰省。胃カメラ検査の結果、大きく深い潰瘍が発見されました。最初は胃がんの疑いもありましたが、生検によって胃潰瘍と診断されました。

母

え〜っ!私が胃潰瘍??

私は昔からどこも悪いところはない。

胃なんて、痛くなったことがないです!

医師
医師

・・・・・・・・(苦笑い)

注目すべきは、母が一切「痛い」と訴えなかった点です。普段どおりに食事をしており…体重だけが減っていました。

認知症と痛みの感じにくさ:そのメカニズム

認知症、特にアルツハイマー型認知症が進行すると、脳の痛み処理に関わる領域(前帯状皮質・島皮質など)が萎縮・機能低下します。これにより、痛みの信号が脳に届きにくくなったり、届いても痛みとして認識されにくくなる場合があります。

また、たとえ痛みを感じていても、その感覚を言語化したり他者に伝える能力が低下するため、周囲から見ると「痛みがない」ように映ることがあります。

重要point
  • 「本人が痛いと言わない」=「異常がない」とは限らない
  • 何も訴えなくても、重篤な場合もある

施設での実例:骨折していても歩けた利用者

私は、施設勤務の経験もあります。

*****身体的な動作に問題がなく、認知症がかなり進行した利用者の例*****

ある日、施設内で転倒しました。転倒後しばらく観察していると、普通に歩けていましたが、ときどき脚を引きずる様子や、「大丈夫ですか」と聞くと、「痛い」と言ったり、「痛くない」と言ったり、はっきりしませんでした。

念のため受診したところ、大腿骨骨折が判明し、手術となりました。

術後は痛みをほとんど感じないためリハビリが驚くほどスムーズに進み、回復も早く施設に戻られ

退院後は念のため、歩行器を使用していただきましたが、使わなくても歩ける状態でした。

一般的には、術後の痛みに耐えながら進めるリハビリが、この利用者様の場合、全く異なる経過を辿りました。

▶高齢者の転倒予防については、こちらで詳しく解説しています。

▶福祉用具(杖・歩行器・歩行車・シルバーカー)については、こちらで詳しく解説しています。

見逃してはいけない身体サイン

認知症の方本人が症状を訴えることは難しいため、周囲の観察が命綱になります。以下のサインが現れた場合は、速やかに医療機関への受診を検討してください。

こんな時は要注意!
  • 体重の急激な変化
  • 顔色・肌色等の変化(青白い、黄色みがかる、むくみなど)
  • 歩き方の変化・転倒後の歩行異常
  • 食欲の急激な低下または増加
  • 表情・発語・活動量の変化(いつもと違う雰囲気)
  • 発熱・下痢・嘔吐などの身体症状
  • 夜間の不穏・興奮の増加(痛みが行動として出る場合)

▶認知症の初期サインについては、こちらの記事もあわせてご覧ください。
親の様子が変?帰省時に気づいた認知症サインと受診の目安【体験談】

介護保険サービスを活用した早期発見

介護保険制度では、認知症の方が利用できるさまざまなサービスが用意されています。これらを上手に活用することが、身体変化の早期発見につながります。

ケアマネジャー(介護支援専門員)への相談

ケアマネジャーはサービス全体をコーディネートする役割を担います。今回の体験談でも、デイサービスからケアマネへの連絡が受診のきっかけとなりました。「体重が減っている」「様子がいつもと違う」と感じたら、まずケアマネに相談しましょう。

通所系サービス(デイサービス・デイケア)

通所サービスのスタッフは毎回バイタルチェック(体温・血圧・脈拍)、定期的に体重測定を行います。専門的な目で日常的に観察してもらえるため、家族だけでは気づきにくい変化を早期に発見できます。

▶デイサービスの利用をためらっている方は、こちらも参考にしてみてください。
デイサービスに行きたがらない理由と対処法|母の体験談からわかった関わり方

訪問看護・訪問診療

要介護度が高い方や、外出困難な方には訪問看護・訪問診療が活用できます。看護師や医師が自宅を訪問し、定期的に身体状態を確認します。痛みの評価には、認知症患者向けの観察式疼痛評価スケール(ABBEY Pain Scale等)を活用することもあります。

▶訪問介護でできることについては、こちらで詳しく解説しています。
訪問介護の身体介護とは?内容・排泄・食事・更衣介助を元ヘルパーが解説

地域包括支援センター

地域包括支援センターは、介護・医療・福祉の総合相談窓口です。認知症の方の受診先の探し方や、介護保険申請のサポートも行っています。「どこに相談すればいいかわからない」という場合は、まず地域包括支援センターへ。

▶地域包括支援センターでできることについては、こちらで詳しく解説しています。

認知症初期集中支援チーム

市区町村に設置されている専門チームで、認知症が疑われる方やその家族を対象に、医療・介護の専門家が自宅を訪問して支援します。本人が受診を嫌がるケースにも対応しています。

家族・介護者にできること

  • 日常的に体重・顔色・食事量・歩き方を把握しておく
  • 転倒・打撲・外傷後は必ず受診する(「大丈夫そう」でも骨折の可能性がある)
  • デイサービス等のスタッフと情報共有を密にする
  • 本人が痛みを訴えない場合も、ケアマネや主治医に様子の変化を伝える

まとめ

認知症が進行すると、痛みを感じにくくなったり、痛みを言葉で伝えられなくなる場合があります。「本人が何も言わない=異常なし」ではなく、体重変化・顔色・転倒・歩き方の変化などのサインに注目することが重要です。

介護保険サービス(デイサービス・訪問看護・ケアマネジャー・地域包括支援センターなど)を積極的に活用し、専門職と情報を共有しながら、早期発見・早期対応を心がけましょう。

🌸 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。次回の記事でも、あなたの不安が少し軽くなりますように。🌸

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