身体介護とは?生活援助との違い・できることを元ヘルパーが解説

在宅介護のサポートサービス
記事内に広告が含まれています。

「ヘルパーさんに頼めることって、どこまでなの?」

介護認定を受けると、訪問介護(ホームヘルパー)を利用できるようになります。

訪問介護には「生活援助」「身体介護」「通院等乗降介助」の3種類があります。

その中でも身体介護は、利用者さんの身体に直接触れて行う介助で、排泄・食事・入浴・更衣・移動など、日常生活を送るために必要なさまざまな支援があります。

ただし、ヘルパーなら何でもお願いできるわけではありません。介護保険で利用できる身体介護には、対象となる支援や利用方法に決まりがあります。

この記事では、訪問介護の身体介護について、どんなことを頼めるのか、できないことは何なのか、利用するときのポイントをわかりやすく解説します。

▶生活援助について詳しく解説している記事はこちら

私はホームヘルパーとして6年、施設介護の経験もあります。

そして、認知症の母が脳梗塞で寝たきりになったとき、今度は家族として在宅介護を経験しました。

専門職としての知識と、家族として介護を受ける側になった実感。その両方の視点からお伝えします。

▼ 介護についてわかりやすく学びたい方には、こちらの本も参考になります。


訪問介護の身体介護とは

身体介護とは、利用者さんの体に直接触れながら行う介護のことです。

身体介護
  • 排泄介助
  • 入浴介助
  • 食事介助
  • 更衣介助(着替え)
  • 体位変換・移乗介助 など

生活援助との違い

生活援助(掃除・洗濯・調理など)とは異なり、専門的な知識や技術が必要です。
そのため、介護報酬(利用料金)も生活援助より高く設定されています。

種類内容の例
生活援助掃除・洗濯・買い物・調理など
身体介護排泄・入浴・食事・着替えなど、体に直接触れるケア

身体介護の具体例

訪問介護の身体介護には、次のようなものがあります。

身体介護主な内容
排泄介助トイレへの移動、衣類の上げ下げ、おむつ交換など
食事介助食事を口に運ぶ、食事姿勢を整えるなど
清拭・入浴介助体を拭く、入浴、洗髪など
身体整容・更衣介助洗面、整髪、着替えなど
移動・移乗介助ベッドから車いす、車いすからトイレなどへの移乗や移動
体位変換寝返りや姿勢を変える介助
起床・就寝介助ベッドから起きる、ベッドに横になる際の介助
服薬介助決められた薬を飲む際の介助
自立生活支援のための見守り的援助安全を確保しながら、利用者さんができることを自分で行えるよう見守り・支援する

このほか、通院・外出介助なども身体介護に含まれます。

訪問介護の身体介護でできること

家族
家族

うちの母は、ひとりでお風呂に入るのが不安のようです。

入浴に関することは何でもお願いしていいですか?

ケアマネ
ケアマネ

できることは、ご自分でしていただきます。必要なところは私たちがお手伝いします。

たとえば、洗身について、

手の届きにくい背中や足先は介助で洗いますが、

前身は、ご自分で洗えるのであれば洗っていただきます。

【残存能力を活かす】という意味でも、ご本人にとっても大切なことです。

身体介護では、利用者さんの身体の状態や生活状況に合わせて、必要な介助を行います。

ただし、ヘルパーが何でも代わりにやってくれるわけではありません。

訪問介護は、ケアプランや訪問介護計画に沿ってサービスを提供します。利用者さんがご自分でできることは、できるだけご自身で行っていただき、難しい部分をヘルパーがサポートします。

「時間がかかるから」「危ないから」と、何でもヘルパーがやってしまうのではなく、利用者さんができることを大切にしながら、できない部分を支援することも身体介護の大切な役割です。

それでは、身体介護にはどのようなものがあるのか、具体的に見ていきましょう。

排泄介助

ケアマネ
ケアマネ

排泄介助は、トイレまでの移動や便座への移乗、衣類の上げ下げ、排泄後の拭き取りなど、排泄に必要な動作をサポートします。

自分でトイレに行くことが難しい場合は、ポータブルトイレの利用やおむつ交換なども行います。

排泄介助は、身体介護の中でも家族が最もつらさを感じやすい場面のひとつです。
家族だけで抱え込まず、ヘルパーに入ってもらうことで、毎日の負担がぐっと軽くなります。

▶ポータブルトイレについてはこちらで詳しく解説しています。

状態に合わせた排泄用品の選び方

状態使用する用品
尿もれが少し気になる綿パンツ+尿とりパッド
失禁量が増えてきたリハビリパンツ+尿とりパッド
トイレへの移動が難しいテープ式おむつ+尿とりパッド(ベッド上で交換)

ベッド上でおむつ交換をする場合は、テープ式おむつに尿とりパッドを組み合わせて使うことが多いです。

ただし、利用者さんの身体の状態や使いやすさによっては、リハビリパンツを使用する場合もあります。

ベッド上でのおむつ交換は、利用者さんにとっても介護する側にとっても負担がかかります。テープ式おむつと尿とりパッドを組み合わせると、横になった状態でも交換しやすく、負担を減らしやすくなります。

はるひ
はるひ

日中はトイレに行くのでリハビリパンツ、

夜間は本人も家族もゆっくり眠れるように、

テープ式おむつを使う方もいますよ。


どんな排泄用品を選ぶか、どれだけヘルパーの力を借りるか、トイレまで行くのが大変であればポータブルトイレを検討するなど、ケアマネジャーに相談しましょう。

▼おむつを選ぶときは、本人の身体の状態や交換方法に合ったものを選ぶことが大切です。

🚶‍♀️歩いてトイレに行ける方のリハビリパンツとパッドはこちら(サイズの確認お願いします)

🛌ベッドでおむつ交換する方のテープ式おむつとパッドはこちら(サイズの確認お願いします)

食事介助

ケアマネ
ケアマネ

食事介助では、自分で食事をすることが難しい方に対して、食事を口元まで運ぶなどの介助を行います。
食事を安全にとれるよう、姿勢を整えたり、食事のペースに合わせて声をかけたりすることも大切な支援です。

加齢や病気などによって、飲み込む力(嚥下機能)が低下すると、むせたり、飲み込みにくくなったりすることがあります。

食べ物や飲み物が気管に入ることを「誤嚥(ごえん)」といいます。誤嚥すると、むせたり咳が出たりすることがあります。

むせが多くなったり、飲み込みが弱くなってきたら、食事の形態を変えていきます。

🍚食べ物が気管に入ることを、誤嚥(ごえん)といいます。誤嚥性肺炎は高齢者がかかりやすい病気です。

嚥下機能に合わせた食事形態の一例

食事形態の例主食副食の例
普通食ご飯普通のおかず
やわらかい食事軟飯・全粥などやわらかく煮たおかず・一口大など
嚥下調整食全粥・やわらかく調整した粥などペースト・ミキサー食など
より飲み込みやすく調整した食事ミキサー粥・ゼリー状にしたものなどペースト・ゼリー状など

食事形態は、嚥下機能や咀嚼する力などに合わせて調整します。上の表はあくまで一例で、必ず上から下へ順番に変わるわけではありません。

はるひ
はるひ

おかゆにも全粥・◯分粥などがあり、水分量によって状態が異なります。

どのおかゆが適しているかは、本人の飲み込む力に合わせて決めます。

食事介助のポイント
  • できることはご本人にしていただき、必要な部分を介助する
  • 一口の量は、その方が無理なく飲み込める量にする
  • 次の一口は、前のものを飲み込んだことを確認してから
  • 食後すぐに横にならず、しばらく座った姿勢で過ごす
  • むせが増えた、飲み込みにくそう、食事量が減ってきたなどの変化があれば、主治医や言語聴覚士などに相談する
はるひ
はるひ

食事介助は、ただ食事を口に運ぶだけではありません。

利用者さんの食べるペースや飲み込みの様子を見ながら、一口の量や次の一口を入れるタイミングにも気を配ります。

水やお茶などの液体でむせたり、飲み込みにくかったりする場合は、「とろみ剤」を使って飲み物にとろみをつけることがあります。

とろみのつけ方や適切な濃さは、本人の飲み込みの状態によって異なるため、看護師や言語聴覚士などに相談しましょう。

とろみ剤は、使用する量によって飲み物のとろみの強さを調整できます。
ただし、とろみが強ければよいというわけではありません。本人の嚥下機能に合ったとろみの濃さにすることが大切です。

入浴介助

自宅での入浴が安全に行えるよう、浴室までの移動や衣服の着脱、洗身・洗髪、浴槽への出入りなどを介助します。

入浴は身体を清潔に保つだけでなく、気分転換や心身のリフレッシュにもつながります。

ただし、転倒などのリスクもあるため、安全に配慮した介助が必要です。

入浴が難しい場合には、清拭や部分浴など、身体を清潔に保つための支援を行うこともあります。

▶入浴介助については、こちらの記事で詳しく解説しています。
浴室の介護事故を防ぐ|手すり・浴室椅子・滑り止めマットとシャワー介助のコツ

自宅での入浴が難しい場合は、デイサービスなどでの入浴を検討する方法もあります。

▶デイサービスの記事はこちらで詳しく解説しています。

▶寝たきりでもお風呂に入れる訪問入浴について、こちらで詳しく解説しています。

更衣介助

衣服の着替えが一人では難しい方に対して、服を脱いだり着たりする動作をサポートします。

麻痺や関節の動かしにくさなど、利用者さんの身体の状態に合わせて、できる部分はご本人に行ってもらいながら介助します。

麻痺側の更衣介助のポイント

片側に麻痺(半身麻痺)がある方の着替えには、「脱健着患(だっけんちゃっかん)」という基本があります。

  • 脱ぐとき:健側(動く側)から脱ぐ → 麻痺側を脱ぐ
  • 着るとき:麻痺側から袖を通す → 健側を通す

「動きやすさ」と考えると、理由がわかって自然に身につきます。

「脱健着患」は、麻痺のある方ができるだけ無理なく着替えられるようにするための基本的な介助方法です。

麻痺側の手を袖に通すときは、介護者は袖口から手を入れて、麻痺している手を迎えに行くようにするとスムーズです。

「脱健着患」は基本的な方法ですが、麻痺の程度や関節の動かしやすさ、衣服の種類などによって、介助方法を調整します。

ボタンの介助

高齢になると、指先の細かい動きがしにくくなります。

  • 時間に余裕があるとき → ゆっくりでもご本人ができればやってもらう
  • 急いでいるとき → 上のボタンからご本人に留めてもらい、下側から介助する

できることはできるだけご本人に任せましょう。
それが自立を支えることにつながります。

👉️高齢者のラクな衣類について、こちらの記事の中で詳しく解説しています。

移動・移乗介助

ベッドから車いす、車いすからトイレなど、場所を移る際の介助を行います。

歩行が不安定な方の歩行介助や、車いすでの移動など、安全に移動できるよう支援します。

移動・移乗で大切なこと
  • 歩ける方は、できるだけご本人の力で歩いてもらう
  • 立ち上がれる方は、立ち上がる動作をご本人にしてもらう
  • 必要に応じて、手すりや杖、車いすなど、身体の状態に合った福祉用具を使用する
  • ふらつきなどがある場合は、転倒しないように支える
  • その日の体調や身体の状態によって、介助の量を調整する

福祉用具を使うことで、できる動作を安全に続けられる場合もあります。ご本人の身体の状態に合わせて、無理なく安全に移動できる方法を考えることが大切です。

移動・移乗介助で使われる福祉用具について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

🔗 杖・歩行器・歩行車・シルバーカーの違い
🔗 車椅子が合わないと感じたら

体位変換

自分で寝返りを打つことが難しい方の姿勢を変える介助です。

長時間同じ姿勢でいることによる身体への負担を減らし、安楽な姿勢で過ごせるよう支援します。

身体介護でできないこと

身体介護は、利用者さんの身体に関する介助であれば、何でもお願いできるというわけではありません。

訪問介護では、ケアプランや訪問介護計画に沿って、必要な支援を行います。

利用者さんが希望したからといって、介護保険の対象にならないことや、計画にない支援を自由に追加できるわけではありません。

また、利用者さんがご自分でできることは、できるだけご自身で行っていただくことも大切です。

ヘルパーが行えない代表的な医療行為

訪問介護のヘルパーは、医師や看護師などの医療資格を持っていないため、医療行為を業務として行うことには法律上の制限があります。

たとえば、次のような行為です。

医療行為具体例
インスリン注射インスリンを注射器などで注射する
摘便直腸内に指や器具を入れて便を取り出す
褥瘡(床ずれ)の処置褥瘡の処置や医療的な傷の処置を行う
点滴の管理・針の抜き差し点滴の針を刺したり抜いたりする、点滴を管理する
自分で針を刺して行う血糖測定採血のために皮膚に針を刺して血糖値を測定する

ただし、これらに関連する声かけや見守り、準備・片付けなど、一定の範囲でヘルパーが行える支援もあります。

はるひ
はるひ

本人が自分でインスリン注射をできず、家族が対応している場合でも、

ヘルパーが注射を代わりに行うことはできません。

ヘルパーができる支援の範囲については、主治医や訪問看護師、ケアマネジャーに確認しましょう。

また、介護職員でも、一定の研修を修了するなどの条件を満たせば、喀痰吸引や経管栄養など、一部の行為を行える場合があります。

そのため、「医療に関することはすべてヘルパーにはできない」というわけではありません。どの行為を、誰が、どのような条件で行えるのかが決められています。

「家族が自宅で行っているから、ヘルパーにもお願いできる」とは限らないため、迷ったときはケアマネジャーや訪問看護師などに相談しましょう。

ケアプランや訪問介護計画にない支援

訪問介護は、利用者さんの状態や希望などを踏まえて作成されたケアプランや訪問介護計画に沿って提供されます。

そのため、訪問したときに「今日はこれもやってほしい」とお願いしても、介護保険のサービスとして、その場で自由に追加できるわけではありません。

必要な支援が変わってきた場合は、ケアマネジャーや訪問介護事業所に相談しましょう。

利用者さんができることをすべて代わりに行うこと

訪問介護では、利用者さんができることまで、すべてヘルパーが代わりに行うわけではありません。

できることはご自身で行っていただき、難しい部分をヘルパーがサポートすることが基本です。

ただし、利用者さんの体調や身体の状態は、その日によって変わります。

たとえば、普段は一人で歩ける方でも、その日はふらつきが強ければ、転倒しないよう身体を支えながら移動することがあります。

また、いつもはトイレでご自身で下衣の上げ下げができていても、体調が悪く、その日は難しい場合には、必要な部分を介助します。

このように、訪問介護では「いつもできるから介助しない」「できないから全部やってもらう」と一律に決めるのではなく、その日の利用者さんの状態を見ながら、安全に配慮して必要な部分を支援することが大切です。

「できることはご自身で、難しいところはヘルパーがサポートする」という考え方を基本にしながら、その日の状態に合わせて介助を行います。

介護保険での使い方

身体介護は、要介護認定を受けた方が介護保険で利用できます

利用するまでの流れはこちらです。

  1. 要介護認定を受ける(要介護1〜5)
  2. ケアマネジャーにケアプランを作成してもらう
  3. ケアプランに沿ってヘルパーが自宅に訪問する

ヘルパーは、ケアプランに基づいた内容・曜日・時間で支援を行います。
ケアプランにない支援は、原則対応できません。

費用の自己負担は原則1割(所得によって2〜3割)です。

▶要介護認定・介護保険負担割合の記事はこちら

サービス時間費用の目安(1割負担)
20分未満約163円〜
30分以上・1時間未満約387円〜
1時間以上・1時間30分未満約567円〜

週に何回・1日に何回入ってもらうかは、ケアマネジャーに相談しながら決めます。
「こんなことを頼みたい」と具体的に伝えると、プランに組み込んでもらいやすくなります。

訪問介護はとても大切なサービスですが、制度の中でできることには限りがあります。

「もう少し柔軟にサポートしてほしい」と感じる場面もあるかもしれません。

そんなときは、介護保険外サービスを併用することで、より安心して在宅生活を続けられる場合もあります。

▶ 必要なときだけ利用できる在宅サポート

24時間365日対応の介護保険外のオーダーメイド介護サービス【イチロウ】

消臭対策|寝たきりのご家族がいる方へ

私の母が脳梗塞で寝たきりになり、1ヶ月間自宅で介護をしました。

訪問看護、訪問入浴、往診に入ってサポートしてもらい、とてもありがたく、感謝感謝でした。

以前より自由な時間が取りにくくなった中、訪問してくれるスタッフさんとの会話が楽しかったです。

寝たきりになると、おむつ交換などで部屋の臭いが気になることがあります。
部屋の環境を整えるために脱臭機を使用したところ、とても効果がありました。

はるひ
はるひ

◯のおむつ交換前に、スイッチ・オン!

30分くらい使用で、

臭いは気になりませんでした。

スグレモノです

まとめ

用事があるときにボタンを押して呼んでもらう家庭用ナースコールはこちら

部屋から出てきたとき、玄関から出ようとしているとき、動きを確認するための人感センサーはこちら

身体介護は、「やってあげる」だけでなく、ご本人が持っている力を引き出すケアでもあります。

  • 排泄介助:状態に合わせた排泄用品選び
  • 食事介助:飲み込みの変化に気づき、食事形態を段階的に調整する
  • 更衣介助:脱健着患の原則と、自立を支える関わり方

家族だけで全部担おうとしなくて大丈夫です。
週何回・1日何回ヘルパーに入ってもらうかは、ケアマネジャーに相談しながら決めましょう。

あなたの生活も守りながら、介護を続けられる形を一緒に考えてもらえます。

👉 あわせて読みたい
生活援助とは?
デイサービスの種類と選び方
介護保険でレンタルできる福祉用具一覧

👉在宅介護が不安な方へ
在宅介護が限界と感じたときの対処法はこちらで詳しく解説しています
BPSD(認知症の症状)で困ったときの対応はこちらで詳しく解説しています
訪問介護でできること・できないことはこちらで詳しく解説しています

あわせて読むことで、これからの介護の備えがより分かりやすくなります。

🌸 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。次回の記事でも、あなたの不安が少し軽くなりますように。🌸

🌻「ごはん食べた?」「おくすり飲んだ?」「調子どう?」など、見守り・家族の連絡にも使いやすいスタンプを作っています。

👉️LINEスタンプ一覧はこちら

にほんブログ村 介護ブログ 高齢者福祉・介護へ
にほんブログ村

コメント

タイトルとURLをコピーしました