車椅子が合わないと感じたら|移乗しづらい・ずり落ちるは交換のサインかも【介護福祉士が解説】

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はじめて車椅子をレンタルして、こんなことはありませんか。

トイレの便座に乗り移ろうとするたびに、足置きが邪魔になってうまく向きを変えられない。介助する側も腰をかがめて必死に支える。毎回ひと苦労で、「車椅子って、こんなに使いにくいものなの?」とため息が出てしまう…。

でも、それは体の状態に合わない車椅子を使っているせいかもしれません。

実は車椅子にはいろいろな種類があって、体の状態や困りごとに合わせて選べます。そして介護保険のレンタルなら、「なんだか合わない」と感じたときに選び直すことができます。

この記事では、車椅子が合っていないときのサインと、種類の違い、そして誰に相談すればいいのかを、介護福祉士の視点でやさしく解説します。

▼良い車椅子用クッションを使うと、正しい姿勢を保ちやすくお尻が痛くなりにくいです。車椅子を使用する方の必需品です▼

こんな様子はありませんか?=「合っていないサイン」

介助者
介助者

足の動きが悪いから、トイレに座る時、

車椅子の足を乗せるところが邪魔になって、介助しにくくて大変なんだけど…

福祉用具<br>専門相談員
福祉用具
専門相談員

その場合は、足を乗せるところを外したり、

横にずらすことができるタイプの車椅子もありますよ。

まずは、いま使っている車椅子が体に合っているかどうかのチェックです。

車椅子が合わないサイン
  • 乗り移り(移乗)のたびに、フットサポート(足を乗せる部分)やアームサポート(肘を乗せる部分)が邪魔になる
  • 座っているうちに、お尻が前のほうへずり落ちてくる
  • 体が左右どちらかに傾いてしまう
  • 長く座っていると、お尻や背中を痛がる
  • ブレーキが短くて、ご本人がかけにくそうにしている
  • 介助する人が、いつも無理な姿勢で支えている

実は車椅子にはいろいろな種類がある

「車椅子」とひとことで言っても、さまざまなタイプがあります。困りごとを解決してくれるタイプがあることを知っておくと、相談もしやすくなります。

自走式と介助式の大きく2つの種類がある

  • 自走式…ご本人が自分で車輪を回して進むタイプ。後ろの車輪が大きいのが特徴です。
  • 介助式…ご家族や介助者が押して動かすタイプ。後ろの車輪が小さく、全体がコンパクトです。

標準型車椅子

初めてのレンタルで多くの方が使うのは、「標準型」と呼ばれるタイプです。アームサポート(肘かけ)もフットサポート(足置き)も固定されていて、軽くて丈夫、扱いやすい車椅子です。

ただ、肘かけや足置きが動かないぶん、乗り移りに介助が必要な方には使いにくい場面が出てきます。そこで、次のような機能を持ったタイプがあります。

フットサポートが横に開く・外せるタイプ(スイングアウト式・着脱式)

足置きが横にパッと開いたり、取り外せたりします。乗り移りのときに足元がすっきりするので、足さばきがぐんとラクになります。

アームサポート(肘かけ)が跳ね上げられるタイプ


肘かけを上げられるので、横からスライドするように乗り移れます。抱え上げなくてよくなるので、介助する側の負担も軽くなります。

モジュール型

座面の高さや幅、背もたれの角度などを、体に合わせて調整できるタイプです。「少しずつ体に合わせたい」というときに向いています。

ティルト式とリクライニング式

どちらも背もたれなどが倒れるタイプですが、動き方が違います

  • リクライニング式背もたれだけが後ろに倒れます。
  • ティルト式座面と背もたれが一緒に傾きます。角度が変わっても姿勢が崩れにくいのが特徴です。

お尻がずり落ちやすい方や、長い時間まっすぐ座っているのがつらい方には、姿勢を保ちやすいティルト式が向いていることが多い印象です。

車椅子のタイプと「向いている人」の早見表

タイプこんな困りごと・こんな人に
標準型(肘かけ・足置き固定)移乗に大きな困りごとがない・自分で立って乗り移れる
軽介助で乗り移れる
フットサポート開閉・着脱式乗り移りのたびに足置きが邪魔になる
アームサポート跳ね上げ式横からスライドして移乗したい・抱え上げがつらい
モジュール型体格や座り心地に合わせて細かく調整したい
ティルト式お尻が前にずり落ちる・姿勢が崩れやすい
リクライニング式座ったまま休みたい・背中を倒して楽になりたい

なお、移乗がとくにラクになるのは「アームサポートの跳ね上げ」と「フットサポートの開閉・着脱」がそろっているタイプです。多機能型やモジュール型に多く見られます。

私が働いてきた施設でも、跳ね上げ式の車椅子は数としては多くありませんでした。

でも、体調を崩されたときや、立つ・座るといった動作が難しくなってきた利用者さんには、跳ね上げ式に変更していました。

介助がラクになるのはもちろん、ご本人の体の負担も少なかった印象です。

さらに、座った姿勢を保つのが難しくなってくると、ティルト式に替わる方もいらっしゃいました。体の変化に合わせて、車椅子も替わっていくものなのです。

ちょっとした工夫で、自分でブレーキがかけやすくなります

時々、車椅子のブレーキレバーにラップの芯をかぶせている方を見かけます。実は、ちゃんと意味のある工夫なんです。

車椅子のブレーキレバーは短めなので、腕の力が弱くなってくると、ご自分で操作するのがだんだん大変になります。

ラップの芯をかぶせてレバーを長くすると、てこの働きで、軽い力でもかけられるようになります。
暮らしの中から生まれた、なるほどの知恵ですね。

ちなみに、レバーを長くする「延長ブレーキ(ブレーキ延長棒)」という部品もあります。車椅子の付属品として、介護保険でレンタルすることもできます

ラップの芯ではなく延長ブレーキを使いたいと思ったら、ケアマネジャーに聞いてみてください。

レンタルなら選び直せる

せっかく用意したのに、また替えてもらうなんて申し訳ない」——そう感じる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、介護保険を使った福祉用具のレンタルは、体の状態が変わったら選び直すことを前提にした仕組みです。買い取りと違って、「一度決めたらずっとそれ」ではありません。

ですから、故障したときだけでなく、「体に合わなくなってきた」「使ってみたら移乗しづらかった」というのも、立派な相談理由です。遠慮せずに伝えて大丈夫です。

費用の面でも、多くの場合、月に数百円ほどの自己負担で借りられます(標準的なタイプの場合)。多機能なタイプは少し変わることもありますが、まずは相談してみるのがよいと思います。

🌸 車椅子以外にレンタルできる福祉用具については、こちらで詳しく解説しています。

相談はケアマネジャーに

ケアマネ
ケアマネ

車椅子を見直したいときには、私(ケアマネ)に連絡くださいね。

車椅子を届けた福祉用具専門相談員さんには、

使い方をしっかり確認してください。

福祉用具の変更は、ケアマネジャーのケアプラン(介護保険の利用計画)にもとづいて行われてます。
車椅子を替えるとレンタル料が変わって、介護保険の利用枠の調整が必要になることもあります。
ケアマネジャーに伝えれば、レンタルを扱う事業所への連絡もふくめて、必要な手配につないでくれます。

相談するときは、次のようなことを具体的に伝えると、ぴったりの一台を選んでもらいやすくなります。

相談ポイント
  • どの動作で困っているか(例: トイレへの乗り移り、車への乗り降り)
  • どんなときに困るか(例: 長く座ったとき、夕方になると傾いてくる)
  • 今の車椅子の、どこが合わないと感じるか(例: 足置きが邪魔、お尻がずり落ちる)

実際に体に合った車椅子を選んで調整してくれるのが、福祉用具貸与事業所(レンタルを扱うお店)にいる福祉用具専門相談員という専門職です。

福祉用具専門相談員さんが車椅子を届けてくれたら、使い方をしっかり確認しましょう。

説明を一度で覚えられなくても大丈夫。何度聞いても大丈夫です。

まとめ

  • 移乗しづらい・ずり落ちる・体が傾く・痛がるは、車椅子が合っていないサインかもしれません
  • 車椅子には種類があり、足置きや肘かけが動くタイプ、姿勢を保ちやすいティルト式などがあります
  • 介護保険のレンタルは、体に合わせて選び直せる仕組みなので、「合わない」と感じたら相談が必要です
  • 相談はケアマネジャーに連絡しましょう

車椅子は、体に合っていてこそ、毎日の暮らしをラクにしてくれる道具です。「合わないな」と感じたら、それは我慢するところではなく、見直すサイン。ぜひ気軽に相談してみてくださいね。

🌸 福祉用具を実際にレンタルした体験については、こちらでも紹介しています。

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