介護保険で福祉用具をレンタルすることになったら、多くの方はケアマネジャーから紹介された福祉用具貸与事業所の専門相談員と打ち合わせをします。
介護が初めてだと、「専門家が選んでくれたのだから、この福祉用具が一番合っているんだろう」と思ってしまいがちです。
しかし、車椅子や歩行器、介護ベッド、エアマットなどの福祉用具にはさまざまな種類があり、身体の状態や生活環境によって適したものが異なります。
「なんだか使いにくいな」——その気持ち、我慢しなくていいんです。
その「使いにくいな」は、我慢のサインではありません。相談していいサインなんです。
今回は、福祉用具を初めてレンタルするときに、専門相談員へ聞いておきたいことや、上手な付き合い方をご紹介します。
🌸 どんな福祉用具が借りられるのかを知りたい方は、こちらで詳しく解説しています。→ 福祉用具レンタルで借りられるもの一覧
▼介護術が写真つき解説入りのこちらの本も参考になります。
福祉用具をレンタルするときに確認したいチェックリスト
まずは、納品日に確認したいポイントをまとめました。
✅ なぜこの福祉用具を選んだのですか?
✅ 他にどんな種類がありますか?違いも教えてください。
✅ 試してみて合わなかった場合、交換や変更はできますか?
✅ 高さや設定の調整方法を教えてください。
✅ 操作方法、注意点を教えてください。
✅ 月々の自己負担額はいくらになりますか?
✅ この場所で使いやすいか、一緒に確認してもらえますか?
✅ 定期点検はどのくらいの頻度で来てもらえますか?
✅ 故障したときは、どこへ連絡すればよいですか?
✅ 修理中は代替品を用意してもらえますか?

体の状態が変わって借りている福祉用具が合わなくなった時は、
早めにケアマネジャーに連絡しましょう。
10の質問について
全部を一度に聞かなくても大丈夫です。「気になる」と思ったものから、メモ代わりに使ってください。
選び方について
家族が自分で選ぶ必要はありません。福祉用具専門相談員がご本人の体の状態に合った福祉用具を選んでくれます。
でも、「なぜこれを選んだのか」聞いてみましょう。知っておくだけで、納得して使えます。
種類について
福祉用具は「一種類」ではありません。例えば車椅子一つをとっても
- 軽量タイプ
- 自走用
- 介助用
- ティルト・リクライニングタイプ
など、さまざまな種類があります。
歩行器や介護ベッド、エアマットも同じです。
体に合わないと思ったときには、他の選択肢があることを知っておくだけで安心して使えます。
試す・交換・変更について
福祉用具は、素人にはどれがいいか分かりません。
専門家が「これがいい」と選んで持ってきてくれたものを、まずは使ってみる。そのうえで「なんだか合わないな」と感じたら、別のタイプに替えてもらえます。最初の一台がゴールではありません。
🌸 車椅子については、「合わないな」と感じたときのサインや、交換の相談のしかたを、こちらで詳しく解説しています。→ 車椅子が合わないと感じたら
高さや設定の調整方法

歩行器は、ご本人の身長や姿勢に合わせて高さを調整することが大切です。納品時に福祉用具専門相談員に調整してもらい、自分でも調整方法を教えてもらいましょう。
また、電動ベッドをレンタルする場合は、高さの調整方法も確認しておくことをおすすめします。
移乗をするとき、車椅子とベッドの高さは同じくらいに調整すると移乗しやすいことが多いです。
ご本人の身体状況に合わせて、福祉用具専門相談員やリハビリ職、ケアマネジャーに確認しながら調整しましょう。

また、おむつ交換やシーツ交換などの介助をするときは、ベッドの高さが低すぎると介助者が前かがみになり、腰を痛める原因にもなります。
介助するときはベッドを適切な高さまで上げ、介助が終わったら利用者さんが安全に過ごせる高さへ戻す習慣をつけましょう。

電動ベッドの高さの調整方法やリモコンの操作方法を
しっかり確認しておきましょう。
操作方法と注意
電動ベッドについては、「高さや設定の調整方法」でご紹介したため、ここでは省略します。
車椅子や歩行器で特に重要なのは、ブレーキのかけ方と解除方法です。
安全に使用するためにも、納品時に必ず確認しておきましょう。
💡 ここは要注意!

ベッドや椅子から車椅子・歩行器へ移るとき、
ブレーキをかけ忘れると福祉用具が動いてしまい、
転倒につながる危険があります!
また、エアマットをレンタルした場合は、機種によってさまざまな機能が付いています。
例えば、
- リハビリや介助時に使用するモード
- セルフクリーニング(換気)機能
- アラームが鳴ったときの対応
などです。
機種によって操作方法や搭載されている機能は異なりますので、「このボタンは何のために使うのですか?」「どんなときに操作するのですか?」と、福祉用具専門相談員に一つひとつ説明してもらいましょう。
月々の自己負担
「月々の自己負担は、いくらになりますか?」
レンタル料には介護保険が適用され、多くの方は1割負担です(所得に応じて2~3割負担の方もいます)。
レンタル料は事業所によって多少異なる場合がありますが、自己負担額の差は大きくないことがほとんどです。
月々にかかる費用を確認しておくことは大切ですが、それ以上にご本人の身体に合っていて、安全で使いやすい福祉用具であることを大切にしましょう。
使う場所と動かしやすさ
電動ベッドは大きくて重い福祉用具なので、納品前に設置場所は確認してもらえます。実際に置いてみると「扉が開けにくい」「介助するスペースが狭い」など、初めて気付くこともあります。
設置後に気になることがあれば、その場で福祉用具専門相談員に相談し、位置の調整ができないか確認してみましょう。
車椅子や歩行器なら、その場で動かして動線を確認し、廊下で曲がれるか方向転換できるかを、一緒に確かめてもらいましょう。
定期点検・故障・連絡先のこと
「定期点検はありますか?」
福祉用具は、安全に使い続けるために定期点検が行われます。
点検の頻度や内容は事業所や福祉用具によって異なるため、あらかじめ確認しておくと安心です。
「何か気になることがあれば、点検日を待たずに相談してください」と案内されることも多いので、遠慮せず相談しましょう。
故障した時の連絡先
「故障したときは、どこへ連絡すればよいですか?」
納品時には、福祉用具専門相談員から名刺を受け取ることが多いので、まずは名刺に記載されている連絡先を確認しておきましょう。
営業時間外や連絡がつかない場合の対応についても確認しておくと安心です。
もし連絡先が分からなくなった場合や困ったときは、担当のケアマネジャーに相談しても大丈夫です。
修理中の代替え品
「修理中は代わりの福祉用具を用意してもらえますか?」
と確認しておくと安心です。
特に介護ベッドや車椅子など、毎日使う福祉用具は、使えなくなると生活に大きな影響が出ます。
事業所によって対応は異なりますが、代替品を用意してもらえる場合もありますので、納品時に確認しておくことをおすすめします。
【保存版】福祉用具別納品日に確認したいポイント
代表的な福祉用具について、特に確認しておくとよいポイントをまとめました。
| 福祉用具 | 特に確認したいポイント |
|---|---|
| 電動ベッド | 立ち上がりやすい高さに調整できるか/手すり(サイドレール)の位置は合っているか/リモコンは使いやすい位置にあるか/置き場所は使いやすいか(介助者の動線・コンセントの位置など) |
| エアマット | 本人の状態に合ったタイプか(体圧分散タイプ、高機能タイプなど)/体重や硬さの設定は合っているか/ボタンの使い方/停電や電源が抜けたときどうするのか |
| 車椅子 | 自分でこぐ(自走式)か、介助者が押す(介助式)か/座ってずり落ちてこないか/体格に合ったサイズか/ブレーキが本人の手に届くか/フットサポート(足台)の高さは合っているか/家の中で使う場合は動線を確認 |
| 歩行器 | 高さは合っているか/本人の歩く力・支えになっているか/ブレーキが握りやすくかけやすいか/重すぎて扱いにくくないか/家の中で使うなら小回りがきくか |
ご家族の2つの選択肢
初めて福祉用具をレンタルする場合、「ケアマネジャーに紹介された事業所にお願いするもの」と思っている方も多いでしょう。
実際には、利用者には福祉用具貸与事業所を選ぶ権利があります。ただ、ご家族だけで事業所を比較して選ぶのは難しいことです。
でも、知っておきたい大切な選択肢が2つあります。
商品を変更してもらえる
実際に使ってみて、「少し使いにくい」「身体に合わない」と感じたら、遠慮せず相談しましょう。
同じ介護ベッドや車椅子でも、機種やタイプを変更することで、より使いやすくなることがあります。
担当の福祉用具専門相談員を変更してもらえることがある
福祉用具専門相談員との相性も大切です。
「相談しにくい」「説明が分かりにくい」と感じたら、一人で悩まずケアマネジャーに相談してみましょう。
同じ事業所内で担当者を変更してもらえたり、必要に応じて別の福祉用具貸与事業所を紹介してもらえたりする場合があります。
困ったことがあれば、「他の事業所もありますか?」と遠慮なく相談してみましょう。
「言いにくいな」と感じるあなたへ

使いにくいけど、相談するのは気が引けるわ…

そんなときは、こんな伝え方でも大丈夫ですよ。
『最近、母が使いにくそうなんです。一度、見直せますか?』
福祉用具は一度借りたら終わりではありません。
身体の状態や生活に合わなければ、見直したり交換したりできる場合があります。
相談しにくいときは、福祉用具専門相談員に直接伝えなくても大丈夫です。
まずは担当のケアマネジャーに相談してみましょう。
また、ヘルパーや訪問看護師、デイサービスの職員などが「こちらの方が使いやすそうですね」と気付いてくれることもあります。
一人で悩まず、周りの専門職にも相談してみてください。
まとめ
福祉用具は「借りたら終わり」ではありません。
- 借りた福祉用具が、体の状態に合っているか。
- 困ったとき、相談できるか。
身体の状態は少しずつ変化します。
使ってみて困ったことがあれば遠慮せず相談し、その時の身体の状態に合った福祉用具へ調整していくことが大切です。
専門相談員は、福祉用具を届けるだけではなく、安心して生活できるよう支えてくれる心強い存在です。
「こんなこと聞いてもいいのかな?」と思わず、気軽に相談してみてください。
🌸 福祉用具レンタルで借りられるものの一覧は、こちらでまとめています。→ 福祉用具レンタルで借りられるもの一覧
🌸 実際に福祉用具を借りたときの体験談は、こちらで詳しく書いています。→ 福祉用具レンタルの体験談
にほんブログ村


コメント