「トイレまで歩くのが不安になってきた」「夜中のトイレ移動で転倒しないか心配」――。
介護が必要になったとき、無理をしてトイレまで歩こうとして転倒してしまうケースは少なくありません。
そんなときに役立つのが、【ポータブルトイレ(腰掛便座)】です。
ポータブルトイレは、介護保険を利用して購入できる福祉用具のひとつです。
レンタルではなく「特定福祉用具販売」の対象となっており、一定の条件を満たせば、購入費の一部に介護保険が利用できます。
この記事では、ポータブルトイレについて、
などを、介護福祉士・ホームヘルパーとしての経験も交えて、わかりやすく解説します。
「まだトイレには行けるけれど、少し不安になってきた」という段階でも、ポータブルトイレを知っておくと、転倒予防や介護の負担軽減につながります。
🌼 ポータブルトイレを使用するときに気になるのが、排泄物の臭いです。
消臭液を使うことで、気になる臭いを抑えやすくなります。なかでも、排泄物の色を確認しやすい無色タイプの消臭液は、ポータブルトイレを使うご家庭でも便利です。
私が介護の現場でポータブルトイレを使用していたときにも、消臭液をお勧めしていました。
▼ポータブルトイレの臭い対策に
ポータブルトイレは介護保険で購入できる
ポータブルトイレは、一定の条件を満たせば介護保険を利用して購入できます。
介護保険では、ポータブルトイレは「腰掛便座」という福祉用具に分類され、特定福祉用具販売の対象になっています。
「介護保険の福祉用具」と聞くと、レンタルを思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、ポータブルトイレはレンタルではなく、購入して利用する福祉用具です。
ポータブルトイレは、介護保険ではレンタルではなく購入が基本

ポータブルトイレは、どうして
レンタルではなく購入しなくてはいけないの?

ポータブルトイレは直接肌に触れるものなので、
衛生面の理由から、レンタルではなく購入になるんですよ。
介護保険の福祉用具には、レンタルできるものと購入するものがあります。
車いすや介護ベッドなど、複数の人が使用できるものはレンタルが基本です。
一方、ポータブルトイレのように、排泄や入浴などで直接肌に触れるものは、衛生面などからレンタルにはなじまないため、購入する福祉用具になっています。
ポータブルトイレは【腰掛便座】に分類される
介護保険では、ポータブルトイレを含む「腰掛便座」が特定福祉用具販売の対象になっています。
腰掛便座とは、簡単にいうと、ベッドのそばなどに置いて、トイレまで移動することが難しい方が使用する便座です。
夜間にトイレまで歩くことが不安な方や、足腰が弱くなって移動に時間がかかる方などに利用されています。
ポータブルトイレには、一般的なタイプのほか、高さを調整できるものや、肘掛けが付いているものなど、さまざまな種類があります。
本人の身体状態や、ベッドからの移動方法に合わせて選ぶことが大切です。
介護保険で購入できる上限額は1年間で10万円
福祉用具購入費は、4月1日〜翌年3月31日までの1年間で10万円まで利用することができます。
ただし、10万円がそのまま支給されるわけではありません。
利用者がいったん全額を支払い、申請後、自己負担割合に応じて購入費の7~9割が支給されます。
- いったん全額を支払う
- 市区町村に申請する
- 介護保険分が払い戻される
介護保険負担割合が
- 1割負担なら最大9万円支給
- 2割負担なら最大8万円支給
- 3割負担なら最大7万円支給
支給限度基準額は10万円で、10万円を超えた分は自己負担となります。
👉️介護保険負担割合は、こちらの記事の中で詳しく説明しています。
ポータブルトイレの価格の目安
ポータブルトイレは種類によって価格が大きく違います。
実際、ポータブルトイレはシンプルなものから高機能なものまで価格差があります。現在の販売例でも、2万円前後のものから5万円程度、10万円を超えるものまであります。
一般的な目安は次のとおりです。
- シンプルなタイプ:1万円台〜3万円程度
- 家具調ポータブルトイレ:3万円台〜10万円程度
※価格はメーカーや機能によって異なります。
家具のような見た目のものは、部屋に置いても違和感が少なく、人気があります。
介護保険の対象となる購入費について、自己負担割合に応じた負担で利用できます。
このように、介護保険を利用すると負担を大きく減らして購入することができます。
ポータブルトイレの種類

どちらを選ぶかは、利用する方の身体の状態だけでなく、どこで使うのか、介助する人がいるのかなども考えて選ぶことが大切です。
家具調ポータブルトイレ
家具調ポータブルトイレは、木製などで作られていて、一般的な家具に近い見た目のものです。
ベッドの横に置いても、いかにも「ポータブルトイレ」という印象になりにくいため、居室の雰囲気を気にする方にも向いています。
- 家具に近い見た目のものを選びたい人
- 安定感のあるものを使いたい人
- 立ち座りの際に、手すりなどを使って安全に動作したい人

家具調ポータブルトイレには、こんな機能が付いたタイプもあります。
・温水で洗浄できる「温水シャワー機能」
・便座を温められる「暖房便座」
両方を備えたタイプもありますよ。
樹脂製ポータブルトイレ
樹脂製ポータブルトイレは、プラスチックなどで作られたタイプです。
家具調に比べて軽量な製品が多く、汚れを拭き取りやすいなど、手入れのしやすさも特徴です。
- できるだけ費用を抑えて選びたい人
- 汚れを拭き取りやすく、お手入れしやすいものを選びたい人
- 比較的軽く、扱いやすいものを選びたい人
- 家具調の見た目にこだわらない人
ポータブルトイレを置く場所

ポータブルトイレは、トイレまでの移動が難しい方がベッドのそばで排泄できるように、ベッドの近くに置いて使用するのが基本です。
日中はトイレまで歩いて行けても、夜間はふらつきや転倒の危険がある方もいます。
そのため、夜間だけベッドの横にポータブルトイレを置いて使用することもあります。
どちらにしても、ベッドからポータブルトイレまで安全に移動できるスペースが必要です。介助が必要な場合は、介助する人が動けるスペースも確保しましょう。
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ポータブルトイレは「種類」だけでなく使う人に合わせて選ぶ
ポータブルトイレを選ぶときは、見た目や価格だけで決めるのではなく、利用する方が安全に座れるか、立ち上がれるか、介助しやすいかを確認しましょう。
立ち座りしやすい高さか
- 普段使っているトイレや椅子の高さと比べてみる
- 足の裏が床につくか
- 立ち上がるときに無理がないか

専門相談員
ポータブルトイレは高さが調整できるタイプもありますよ。
介助者がお手入れしやすいものを選ぶ
- 重さや持ち運びのしやすさ
- 汚れを拭き取りやすいか
- バケツの取り外しや洗浄がしやすいか
家具調タイプには、後ろ側にキャスターが付いているものがあります。
ポータブルトイレの前側を少し持ち上げると、キャスターを使って移動できるため、掃除や位置の調整をするときにも便利です。
介護保険で購入できるポータブルトイレにはさまざまな製品があるため、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員に相談しながら、本人の身体状況や住環境に合ったものを選ぶと安心です。
介護保険で購入できる福祉用具(特定福祉用具販売)
介護保険では、すべての福祉用具を購入できるわけではありません。
排泄や入浴に使うものなど、衛生面や再利用のしにくさから「貸与になじまない」とされる福祉用具は、特定福祉用具として購入費の支給対象になります。
また、2024年4月からは、一部の福祉用具について、レンタル(貸与)と購入(販売)を選べるようになりました。
- 腰掛便座
- 移動用リフトの吊り具の部分
- 自動排泄処理装置の交換可能部品
- 排泄予測支援機器
- 簡易浴槽
- 入浴補助用具
入浴補助用具については、こちらの記事で詳しく紹介しています。
レンタルと購入が選べる福祉用具
- 歩行器(歩行車を除く)
- 歩行補助つえ
- 固定用スロープ
2024年の介護保険制度改正により、
歩行補助杖・歩行器・固定用スロープはレンタルと購入のどちらも選べるようになりました。
ポータブルトイレの使い方
ポータブルトイレのバケツの中には、少量の水を入れておきます。
その中に排泄することで、汚れが付きにくくなります。
さらに、水の中には臭いを軽減するための消臭液を入れて使うことが一般的です。
消臭液は無色タイプがおすすめ

消臭液は、無色がおすすめ!
尿の濁りや血尿に早く気づけます。
市販の消臭液には、濃い青色のものが多くあります。
見た目は青色の液体のほうがいいですが、
- 尿が濁っている
- 血が混じっている
といった尿の異常に気づきにくいです。
無色であれば、尿の色の変化がわかりやすく、体調の変化や病気に気づきやすくなります。
ポータブルトイレの注意点(デメリット)
バケツの中の排泄物をトイレに捨てる必要があるため
- 家族の協力が必要になる
- 独居の場合は対応が難しいこともある
家族が対応できない場合は、
訪問介護(ホームヘルパー)に手伝ってもらうことも可能です。
ケアマネジャーに相談しましょう。
👉️排泄など身体介護が必要になったら、「訪問介護の身体介護とは」で詳しく解説しています。
👉️ポータブルトイレの片付け・トイレ掃除など生活援助が必要なときは、「訪問介護でできること・できないこと」で詳しく解説しています。
ポータブルトイレを使うときの大事なポイント

ポータブルトイレを置く位置や動線、
大切だから相談してくださいね。
ポータブルトイレを使うときは、ベッドから安全に移動できる位置に置くことがとても大切です。
遠すぎると、夜間に歩く距離が長くなり、転倒の危険が高くなります。
反対に近すぎても、立ち上がるスペースがなく使いにくいことがあります。
また、次のような点にも注意しましょう。
足元を安全にする
夜間は暗く、足元が見えにくくなります。
- カーペットのめくれ
- 電気コード
- 小さな家具
などにつまずくことがあるため、ポータブルトイレまでの動線はできるだけシンプルにしておきましょう。
小さな足元ライトをつけておくと安心です。
手すり代わりになるものを置く
立ち座りのときに、つかまれる場所があると転倒予防になります。
- ベッドの手すり
- ポータブルトイレのひじ掛け
- ひじ掛けのある椅子のひじ掛け
などを活用すると、安全に使いやすくなります。

最初は昼間に練習しておく
いきなり夜に使うのではなく、昼間のうちに一度使ってみることをおすすめします。
- 立ち上がりやすいか
- 座りやすい高さか
- 使いにくくないか
- ベッドからポータブルトイレまでの動線がスムーズか
昼間、確認しておくことで、夜間も安心して使用できます。
まとめ
ポータブルトイレ(腰掛便座)は、夜間の転倒を防ぐためにも役立つ福祉用具です。
介護保険を利用すると、1年間で10万円を上限に、購入費の支給を受けることができます。
種類も多く、家具調のものなど室内に置いても違和感の少ないタイプもあります。
毎日使うものなので、本人が使いやすく納得できるものを選ぶことが大切です。
また、排泄物の処理など介護の負担もあるため、家族だけで抱え込まず、必要に応じて介護サービスの利用を検討することも大切です。
夜間にトイレまで行くのが不安な場合は、無理をせずポータブルトイレの利用も検討してみましょう。
▼こちらの記事もどうぞ
👉️転倒防止の記事として、「入浴の安全対策の記事」・「住宅改修の記事」でも詳しく説明しています。
👉️排泄など身体介護が必要になったら、「訪問介護の身体介護とは?」でも詳しく解説しています。
あわせて読むことで、これからの介護がより分かりやすくなります。
🌸 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。次回の記事でも、あなたの不安が少し軽くなりますように。🌸
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