母が経鼻栄養になったのは、脳出血により、自力で食事を摂ることが難しくなったためです。
胃瘻(いろう)の手術も予定していましたが、手術当日に痙攣を起こし中止となりました。
その後は鼻から胃までチューブを入れる「経鼻栄養」で在宅介護を続けることになりました。
経管栄養というと「栄養を入れるだけ」と思われるかもしれません。
しかし実際には準備や後片付け、体位変換、おむつ交換などもあり、1回の栄養注入にかなりの時間がかかります。
今回は、私が母の介護で行っていた経鼻栄養の流れと、実際に感じたことをお話しします。
※私の介護体験をもとに書いています。経管栄養の方法や注入量は病状や医師・看護師の指示によって異なります。
💡 この記事には介護用語が出てきます。黄色のマーカーが付いている用語は、記事後半の「用語解説」でわかりやすく説明しています。
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経鼻栄養とは
経鼻栄養とは、鼻から胃までチューブを通し、栄養剤を注入する方法です。
口から十分な食事が摂れない場合に行われます。
経管栄養には主に次の2種類があります。
経鼻栄養
鼻からチューブを入れて栄養を注入する方法です。
胃瘻(いろう)
お腹に小さな穴を作り、胃へ直接栄養を注入する方法です。
胃瘻は長期的な栄養管理に適しているといわれていますが、本人や家族の考え方によって選択は異なります。
経鼻栄養と胃瘻の違い
| 項目 | 経鼻栄養 | 胃瘻(いろう) |
|---|---|---|
| 栄養を入れる方法 | 鼻から胃までチューブを通す | お腹に小さな穴を作り胃へ直接注入 |
| 手術 | 不要 | 必要 |
| 見た目 | 鼻にチューブが見える | 衣服の下に隠れる |
| チューブ位置確認 | 必要 | 基本的に不要 |
| 誤って抜けるリスク | 比較的高い | 比較的低い |
| 長期利用 | やや不向き | 向いている |
| 家族の管理負担 | やや大きい | 比較的少ない |
母は胃瘻造設を予定していましたが、手術当日に痙攣(けいれん)を起こしたため中止となりました。そのため、経鼻栄養を続けています。
チューブを抜かないためのミトン使用
経鼻栄養では、本人が無意識にチューブを抜いてしまうことがあります。
母は右麻痺がありましたが、入院中は動く左手でチューブを触ろうとすることがあったため、左手にミトンを装着していました。

ミトンは安全のために使用されることがありますが、身体の自由を制限するため「身体拘束」に該当します。
そのため、病院から説明を受けたうえで同意書にサインをしました。
家族としてはチューブが抜ける心配が減る一方で、「本人の自由を制限している」という複雑な気持ちもありました。
その後、痙攣を起こしてからは左手の動きも弱くなり、チューブを抜く心配がなくなったため、ミトンは不要になりました。
わが家で行っていた経鼻栄養の流れ

おむつ交換
まず最初におむつ交換を行います。
栄養を注入した後はすぐに体を動かせないため、先に済ませておきます。
ベッドをギャッチアップする
誤嚥や逆流を防ぐため、ベッドの背上げを行います。
チューブの位置を確認する
我が家ではシリンジで空気を送り、聴診器で胃の音を確認していました。
経鼻栄養では大切な確認作業でした。

👉️私が苦手だった胃の音の確認。詳しくは訪問看護の記事の中で解説しています。
白湯を注入する
チューブの通りを確認するために白湯を注入します。
エンシュアを注入する
母の場合はエンシュア(栄養剤)を使用していました。
ゆっくり時間をかけて注入します。
薬を注入する
薬を白湯で溶かし、シリンジで注入します。
再度白湯を注入する
チューブ内に薬や栄養剤が残らないように流します。
しばらくギャッチアップを継続する
逆流や誤嚥を防ぐため、すぐには寝かせません。
体位変換(体交)
褥瘡(じょくそう)予防のため体位変換を行います。
母は寝たきりだったため、定期的な体位変換が欠かせませんでした。
栄養注入が終わっても介護は続く
栄養剤を注入し終わっても介護は終わりではありません。
使用した栄養バッグやチューブの洗浄も毎回行ないます。
キッチンのシンクでぬるま湯を使い、チューブの中をゆっくり洗い流します。
チューブは細いため、ポタポタと時間をかけて洗浄していました。
さらに訪問看護師さんから教わり、定期的にミルトンを使って消毒も行っていました。
実は最初の頃、私はミルトン消毒の必要性を知りませんでした。
そのまま使用を続けていたところ、1週間ほど経った頃にチューブの中に黒い点のようなものが見えるようになったのです。
夏場で、わが家のキッチンにエアコンがなく、とても暑い環境でした。
慌てて訪問看護師さんに相談し、その後は定期的な消毒を行うようになりました。

カビ〜〜〜!!!
気づいてよかったぁ
我が家で使用していた消毒用品
栄養バッグやチューブの消毒には、訪問看護師さんの指導のもとでミルトンを使用していました。
ミルトンは本来、赤ちゃんの哺乳瓶などを消毒するための商品ですが、我が家では介護用品の消毒にも活用していました。
赤ちゃんにも使えるものなので、高齢者にも安心して使えました。
※使用方法は医療機関や訪問看護師の指示に従ってください。
栄養注入だけで約2時間
経管栄養というと「栄養剤を入れるだけ」と思われがちです。
しかし実際には、
- おむつ交換
- チューブ確認
- 栄養注入
- 服薬
- 洗浄
- 消毒
- 体位変換
などを含めると、1回で約2時間近くかかっていました。
そしてこれを1日3回行います。
栄養の時間を中心に1日が回っているような生活でした。
外出は買い物程度だった
母が経鼻栄養になってからは、長時間の外出は難しくなりました。
栄養の時間に合わせて生活する必要があり、私が外出できるのは近所への買い物程度です。
介護サービスを利用しながらでも、家族の生活は大きく変わります。
当時は自由な時間がほとんどありませんでした。
在宅介護で経管栄養を続ける家族へ
経管栄養の介護は、栄養を入れる作業だけではありません。
体位管理やおむつ交換、服薬介助、チューブ洗浄なども含めると、多くの時間と体力が必要になります。
一人で抱え込まず、訪問看護やショートステイなどの介護サービスも活用しながら、介護者自身の休息も大切にしてください。
👉️「在宅介護を支える訪問看護とは?」については、こちらの記事の中で解説しています。
👉️「泊まることができるショートステイとは?」については、こちらで詳しく解説しています。
用語解説
経管栄養
口から十分な食事が摂れない場合に、チューブを使って胃や腸へ栄養を送る方法です。
誤嚥(ごえん)
食べ物や飲み物、唾液などが気管に入ってしまうことです。
褥瘡(じょくそう)
同じ姿勢が続くことでできる傷で、「床ずれ」とも呼ばれます。
身体拘束
本人の行動を制限する行為です。ミトンの装着も身体拘束に該当します。
まとめ
経鼻栄養は、ただ栄養剤を注入するだけではありません。
チューブの位置確認、服薬、体位管理、洗浄や消毒、おむつ交換など、多くの介護が伴います。
我が家では1回の栄養注入に約2時間かかり、それを1日3回繰り返していました。
大変な毎日でしたが、今振り返ると母との大切な時間でもあったと思います。
これから経鼻栄養による在宅介護を始める方や、現在介護中の方の参考になれば幸いです。
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🌸「言語聴覚士による母の飲み込むリハビリ」について、こちらで詳しく解説しています。
在宅介護は、支えてくれるサービスがあっても、家族の負担が大きいのも事実です。
早めに施設の情報も知っておくと、安心感につながります。
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