家族の体調不良や急な用事で、普段の介護が続けられなくなることは誰にでも起こりえます。そんなとき、介護保険サービスの「ショートステイ」や「小規模多機能型居宅介護」をうまく活用することが、介護者自身の心身の健康を守る鍵になります。この記事では、それぞれのサービスの特徴・利用方法・費用・注意点について、わかりやすく解説します。
▼ 介護についてわかりやすく学びたい方には、こちらの本も参考になります。
介護ができなくなったときに何をすればいい?
- 介護を担っているご家族が体調を崩してしまった
- 突然の不幸や急用ができた
- 介護に疲れた。何日間か休みたい…等
そのようなときは、まず担当のケアマネジャーに連絡しましょう。
ケアマネジャーは、ご本人の状況に合った代替サービスを探し、手配を支援してくれます。事前に「いざとなったらどうするか」を話し合っておくことが、緊急時の安心につながります。
ショートステイとは?種類と基本の仕組み
ショートステイは、介護が必要な方が短期間、施設に宿泊して介護サービスを受ける制度です。介護保険上は「短期入所生活介護」と「短期入所療養介護」の2種類があります。
短期入所生活介護(生活系)
特別養護老人ホームや老人短期入所施設などで行われる宿泊型の介護サービスです。食事・入浴・排泄の介助、レクリエーションなど日常生活のサポートが受けられます。
短期入所療養介護(医療系)
介護老人保健施設や療養型医療施設などで、医学的な管理のもとで提供されます。痰の吸引や経管栄養など医療的ケアが必要な方に適しています。
⚠️ ショートステイの利用日数は、ケアマネージャーに相談しましょう。
ショートステイの利用シーン・費用・利用方法
こんなときに使えます
- 家族が体調不良・入院になったとき(緊急利用)
- 冠婚葬祭・出張など日程が決まっているとき
- 介護者のリフレッシュ・休養(レスパイトケア)
- 定期的に利用して在宅介護を継続的に支える
費用の仕組み
費用の構成
| 費目 | 内容 | 負担の考え方 |
|---|---|---|
| 介護報酬 | 要介護度・室料区分によって異なる | 1〜3割負担(所得による) |
| 食費 | 1日あたりの食事代 | 原則全額自己負担※ |
| 居住費 | 多床室・個室など室料区分による | 原則全額自己負担※ |
| 日常生活費 | 日用品・レクリエーション費など | 全額自己負担 |
💡要介護度や負担割合についての記事は、こちらで詳しく解説しています。
室料区分による居住費の違い(イメージ)
| 室料区分 | 特徴 | 居住費の目安 |
|---|---|---|
| 多床室(相部屋) | 複数人で利用。費用は低め | 比較的安い |
| 従来型個室 | 個室だが設備はシンプル | 中程度 |
| ユニット型個室 | 個室でプライバシーが高い | やや高め |

住民税非課税世帯など低所得の方は、
食費や居住費が軽減される場合がありますので、
ケアマネージャーや施設にご確認ください。
急な場合の手続き
ケアマネジャーが複数の施設に空き状況を問い合わせて調整してくれます。本人の状態やかかりつけ医の情報を伝えておくとスムーズです。
小規模多機能型居宅介護とは?
小規模多機能型居宅介護は、「通い(デイサービス)」を中心に「短期間の泊まり(ショートステイ)」「訪問(ヘルパー派遣)」の3つのサービスを、同じ事業所が柔軟に組み合わせて提供する介護保険サービスです。
💡原則として事業所と同じ市区町村に住んでいる方が対象です。

💡訪問介護でヘルパーさんができることには決まりがあります。くわしくは訪問介護とは?できること・できないことを元ヘルパーが解説【生活援助】をご覧ください。
💡訪問介護の身体介護について、くわしくは訪問介護の身体介護とは?内容・排泄・食事・更衣介助を元ヘルパーが解説をご覧ください。
💡デイサービスの内容や選び方について、くわしくはデイサービスとは?内容や選び方を体験談をもとにやさしく解説もあわせてご覧ください。
小規模多機能型居宅介護は、同じスタッフが顔なじみとなって関わってくれるため、利用者・家族ともに安心感が高い点が最大の特徴です。
小規模多機能型居宅介護のメリットと費用の仕組み
主なメリット
- 同じスタッフが「通い・泊まり・訪問」すべてを担当するため、信頼関係が築きやすい
- 急な体調変化にも泊まりや訪問で柔軟に対応できる
- 認知症の方でも環境変化が少なく、混乱しにくい
- 月額定額制のため、利用回数が増えても基本料金が変わらない
費用の仕組み
費用の構成(月額定額制)
| 費目 | 内容 | 負担の考え方 |
|---|---|---|
| 基本報酬(月額定額) | 通い・泊まり・訪問すべて込み。要介護度によって異なる | 1〜3割負担(所得による) |
| 食費 | 通いや泊まり時の食事代 | 原則全額自己負担 |
| 宿泊費 | 泊まり利用時の室料 | 原則全額自己負担 |
| 日常生活費 | 日用品など | 全額自己負担 |
💡 月額定額制のため、通い・訪問・泊まりの利用回数が増えても基本料金は変わりません。頻繁に使うほど割安になる仕組みです。要介護度が高いほど月額基本料金は高くなります。
具体的な金額はケアマネジャーまたは事業所にご確認ください。
居宅介護支援から小規模多機能型居宅介護への変更で知っておくべきこと
居宅介護支援(訪問介護・デイサービスなど)を利用している方が小規模多機能型居宅介護に変更することは可能です。ただし、いくつかの大切なポイントがあります。
ケアマネジャーが変わります

小規模多機能型居宅介護事業所には、
専属のケアマネージャーがいるので、
今までのケアマネージャーから変更になります。
⚠️ 市区町村への「居宅サービス計画作成依頼(変更)届出書」の提出が必要です。手続きは事業所やケアマネジャーが代行してくれることが多いです。
他事業所のサービスとの併用に制限があります
小規模多機能型居宅介護を利用すると、他事業所の訪問介護・デイサービスなどとの併用は原則できません。これまで利用していたサービス事業所との関係が変わる点も、あらかじめ理解しておきましょう。
小規模多機能型居宅介護は近くにある?地域差について
小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスのため、お住まいの市区町村内の事業所しか原則として利用できません。
地域によっては、1箇所もない場合もあります。
「使いたいけれど近くにない」という場合は、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談しながら、ショートステイの活用など別の方法を組み合わせることを検討しましょう。
ショートステイと小規模多機能の使い分け
- すでに複数の事業所を利用中で関係ができている → ショートステイの単独追加が向
- 認知症があり環境変化に弱い・スタッフの顔なじみを重視 → 小規模多機能が向く
- 医療的ケアが必要 → 短期入所療養介護(医療系ショートステイ)が向く
- 通い・泊まり・訪問をまとめて柔軟に使いたい → 小規模多機能が向く
- 近隣に小規模多機能の事業所がない → ショートステイ+訪問介護の組み合わせで対応
💡なお、デイサービスをご本人が嫌がるケースも少なくありません。そのような場合の関わり方についてはデイサービスに行きたがらない理由と対処法|母の体験談からわかった関わり方をご参考にどうぞ。
まとめ
介護者が「もう限界」と感じる前に、ショートステイや小規模多機能型居宅介護を上手に活用することが、在宅介護を長く安心して続けるポイントです。
小規模多機能に変更する際は、ケアマネジャーが替わる点や、地域によっては事業所が近くにない場合がある点もあらかじめ確認しておきましょう。
緊急時でも定期的な利用でも、まずはケアマネジャーや地域包括支援センターに相談するところからはじめてみてください。
にほんブログ村

コメント