離れて暮らしていると、親の毎日の様子はなかなか分かりません。とくに日中ひとりで過ごす時間が長い親だと、「転んでいないかな」「ちゃんと食べているかな」と、ふとした瞬間に心配になるものです。
そんなときに候補にあがるのが「見守りカメラ」です。ただ、いざ考えると「親に無断でカメラをつけていいのだろうか」と迷う方も多いと思います。
わたしは介護福祉士として、また以前は施設のケアマネジャーとして、たくさんのご家族の悩みに接してきました。この記事では、見守りカメラでできることや、親に伝えるべきかどうか、カメラ以外の見守り方法までお伝えします。
帰省したときに親の様子が変だと感じたら、帰省時に気づく親の異変チェックリストも参考にしてください。
▶高齢の親との付き合い方、こちらの本も参考になります。
離れて暮らす親が心配になるのは、こんなとき
ご家族から相談を受けていると、離れて暮らす親を心配するきっかけは、次のような場面が多いようです。
- 電話をかけても、なかなか出ないとき
- 転んでいないか、動けなくなっていないか気になるとき
- 夏の熱中症や、冬の寒さで体調をくずさないか心配なとき
- 前より、もの忘れが増えたような気がする、認知症が進んでいると感じたとき
どれも、はっきりした異変ではありません。
でも「なんとなく心配」が積み重なると、自分の生活に集中できなくなってしまいます。
様子が少しでも分かる手段があると、気持ちがずいぶん楽になります。
見守りカメラとは?できること

見守りカメラは、家の中の様子をスマホやパソコンからいつでも確認できる機器です。防犯カメラと似ていますが、離れて暮らす家族の安否を見守る目的で使われることが増えています。
わたしの知人にも、最近つけた人がいます。その人のお母さんは認知症があり、日中ひとりで自宅で過ごしています。知人は日中は職場にいますが、スマホを開けばリビングの様子をいつでも見られるそうで、安心して仕事に集中できると話していました。
見守りカメラでできることを整理すると、次のようになります。
- スマホやパソコンから、離れた場所の親の様子をリアルタイムで確認できる
- 動きを感知して、スマホに通知が届くタイプもある
- カメラを通して話しかけられる(通話機能つきの場合)
- 録画して、あとから見返せるタイプもある
- 夜間(暗い部屋)でも見えるタイプもある
「元気に動いている姿が見えるだけで安心する」というのは、離れて暮らす家族にとって大きいことだと思います。
ソニーの防犯サービス MANOMA(マノマ)「セキュリティセット」見守りカメラのメリットとデメリット
メリットとデメリットがありますので、両方を知っておくと選びやすくなります。
まずメリットです。
- 外出先でも、スマホから親の様子が分かる
- 転倒などの異変に、早く気づける
- 通話機能で、その場で声かけができる
- 「様子が見える」ことで、家族の気持ちの負担が減る
一方で、デメリットもあります。
- 本人が「見られている」と感じることがある
- カメラに映る範囲の外は分からない
- Wi-Fiなどのインターネット環境が必要
- 家族側に見る余裕がないと、続かない
便利な道具ですが、万能ではありません。
日中ひとりで過ごす時間が長い親や、様子が分からず不安な家族には向いています。
逆に、家全体まで細かく知りたい場合や、家族に画面を見る余裕がない場合は、別の方法のほうが合うこともあります。
親に内緒でカメラをつけてもいい?——介護福祉士として思うこと
ここが、多くの方が迷うところだと思います。
先ほどの知人の話には続きがあります。実は、カメラはそっと設置したそうで、お母さんはカメラに気づいていません。
「勝手につけるのは気が引ける」と感じる方もいるかもしれません。でも、わたしはカメラは本人に内緒でいいと考えています。

「常にカメラで見られている」と思うと、誰でもいい気持ちはしませんね。
カメラがあると思ったら、かえって親の負担になるかも⋯。
とくに認知症のある方の場合は、説明しても覚えていられなかったり、「見られている」という感覚だけが残って不安が強くなったりすることもあります。
無理に伝えないという選択は、本人の穏やかな暮らしを守ることにもつながります。
もちろん、説明すれば理解できる状態の親御さんなら、事前に相談してから決めるほうが、お互い安心できることもあります。
親御さんの性格や理解力に合わせて考えてみてください。
見守りカメラは、あくまで「家族が安心するための道具」です。
本人にストレスをかけてまで様子を知る必要はありません。
だからこそ、カメラのように「見られている」と分かる機器は、無理に伝えなくてもいいと思います。
「見守られている感が薄い機器」なら、伝えてもいい
一方で、機器のなかには本人に伝えたほうがいいものもあります。
その代表が、電気ポットを使うと家族のスマホに通知が届くタイプです。象印マホービンの「みまもりほっとライン」が有名で、20年以上続いています。
ポットでお湯を沸かしたり注いだりすると、その使用状況が離れて暮らす家族にメールで届く仕組みです。

このタイプは、カメラのように姿が映るわけではありません。
「今日もポットを使ってる。よかった。」と、生活のリズムがそっと伝わるだけです。
見守られている感が薄いので、本人に伝えても負担になりにくいのが特徴です。

ポットを使うと、私が元気なのが伝わる。
娘は私のことを心配してくれているんだなぁ。
離れていてもつながっている、という安心にもなります。

【機器のタイプによって、伝える・伝えないを変える】
のがいいと思います。
- カメラのように「見られている」とはっきり分かる機器 → 無理に伝えなくていい
- ポットのように「見守られている感が薄い」機器 → 伝えて、安心につなげてもいい
同じ「見守り」でも、機器の性質によって親の受け取り方は変わります。ここを分けて考えると、家族も本人も気持ちよく使えます。
カメラ以外の見守りの方法
見守りの方法は、カメラだけではありません。代表的なものを挙げます。
| 見守り方法 | 特徴 |
|---|---|
| ポット型の見守り | 電気ポットの使用状況が家族に届くタイプ。生活リズムをそっと知りたいときに向いています。 |
| 人感センサー・ドアセンサー | 一定時間動きがなかったり、ドアの開け閉めがなかったりすると家族に知らせ、生活の動きがそれとなく分かります。 |
| 電気やガスの使用量で見守るサービス | 普段の使用量から生活リズムを見守り、いつもと違う変化があれば家族に知らせます。 |
| 緊急通報サービス | 本人がボタンを押すと、家族や委託先へ通報が届き、急な体調の変化に備えられます。 |
| 配食サービスの安否確認 | お弁当を手渡しで届ける際に、スタッフが顔を見て、変わった様子がないか確認してくれます。 |
| 定期的な電話や訪問 | 機器に頼らず、家族や近所の人がこまめに連絡を取ることも、大切な見守り方法です。 |
配食サービスについては、高齢者向け配食サービスとは?安否確認の役割と介護保険外サービスを徹底解説の記事でくわしく紹介しています。

それぞれの見守り方法には特徴があります。親の生活スタイルや家族との距離に合わせて、無理なく続けられる方法を選びましょう。
見守りカメラを選ぶときのポイント
種類が多くて迷うと思います。介護目的で選ぶときは、次の5つを確認しておくと選びやすくなります。
- 画角(映る範囲):首を振って広い範囲を映せるタイプもあります。目的に合わせて選びましょう。
- アプリの使いやすさ:家族側がストレスなく使えるかは、続けやすさに直結します。
- 通話機能:声かけや返事の確認をしたいなら、通話機能つきが便利です。
- 工事不要か・Wi-Fiの有無:工事なしで使えるものが主流ですが、インターネット環境は必要です。実家にWi-Fiがあるか確認しておきましょう。
- 録画と保存方法:あとから見返したいなら、録画に対応しているか、どこに保存されるかも確認しておきましょう。
これらは機種によって差があります。実際に選ぶときは、商品の説明をよく読んで、目的に合うものを選んでください。
わが家の場合は必要ありませんでした
正直にお話しすると、わたしの両親は夫婦二人暮らしだったので、見守りカメラを使う場面はありませんでした。
ただ、冒頭の知人のように「仕事中でもスマホで母の様子が確認できて安心」という話を聞くと、便利な時代になったと感じます。ご家族の状況に合えば、心強い選択肢のひとつだと思います。
まとめ
離れて暮らす親、日中ひとりで過ごす親が心配なとき、見守りカメラは心強い味方になります。ポイントを振り返ります。
- 見守りカメラは、スマホから親の様子をいつでも確認できる機器
- カメラは「見られている」と分かる機器なので、無理に本人へ伝えなくてよい(説明できる親御さんなら相談してもよい)
- ポット型のように見守られている感が薄い機器は、伝えて安心につなげてもよい
- カメラが向かない場合は、配食サービスや人感センサーなど別の方法もある
- 選ぶときは、画角・アプリ・通話機能・工事不要か・録画方法を確認する
見守りの目的は、親を監視することではなく、家族も本人も安心して過ごせるようにすることです。親の気持ちを大切にしながら、わが家に合った見守りの形を選んでいただけたらと思います。
「見守りだけでは、そろそろ難しいかもしれない」と感じ始めたら、在宅介護の限界サインとは?無理を続ける前に考えたい判断基準もあわせて確認してみてください。
離れていても様子が分かるだけで、気持ちはずいぶん軽くなります。まずはどんな見守りカメラがあるのか、見てみるところから始めてみてはいかがでしょうか。
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