介護施設へ入居すると、「これで安心」と思うご家族も多いと思います。
確かに、多くの方が「安心、よかった」と思われていますが、
すべての方が、すぐに穏やかな生活になるとは限りませんでした。
「家に帰りたい」と訴える方。
環境の変化に不安を感じる方。
認知症の症状で不穏になる方。
介護施設では、そうしたさまざまな思いや変化に向き合いながら、毎日が過ぎていきます。
逆に、入居で、程よい距離感になったことにより、親子関係が良くなったという方もいらっしゃいます。
今回は、私が介護施設で勤務していた頃に感じた、“入居後の本人や家族の変化”について書いてみたいと思います。
▼ 介護施設の選び方についてわかりやすく学びたい方には、こちらの本も参考になります。
施設に入っても「帰りたい」はある
決心をして介護施設へ入居しても、「家に帰りたい」という気持ちがなくなるわけではありません。
特に入居して間もない頃は、
- 自宅へ帰ろうとする
- 見慣れない場所で不安になる
そんな様子が見られることもありました。
住み慣れた家を離れることは、本人にとって大きな環境の変化です。
そのため、不安や混乱から、「帰りたい」という言葉につながることもあったのだと思います。
認知症の方と、強い不安やこだわりがある方の違い
現場で感じたのは、帰宅願望にもさまざまなパターンがあるということです。
認知症の方の場合、職員が話題を変えたり、お茶を飲んでいただいたりすると、
少し落ち着かれることもありました。
一方で、強い不安やこだわりを抱えている方の場合は、「帰りたい」という気持ちが長く続くこともあります。
帰宅願望が強く、外へ出ようとされる方もいた
強い不安や家に対するこだわりを抱えている方の中には
長時間、施設の玄関付近で「帰りたい」と訴え続ける利用者様もいらっしゃいました。
安全面の関係から、職員が付き添いながら施設内で対応することもありました。
何度も玄関へ向かわれ、扉を開けようとされたり、不安な気持ちを職員へぶつけられることもあります。
そんな時は、スタッフが交代しながら声をかけ続けていました。

介護現場では、「これが正解」という対応があるわけではなく、その時その時で試行錯誤していたように思います。
もちろん、入居された方全員に強い帰宅願望があったわけではありません。
施設生活に比較的早く慣れ、穏やかに過ごされる方もたくさんいらっしゃいました。
実際に外へ出ようとされるケースは、私の勤務先ではごく一部だった印象です。
体感としては、50人に1人いるかどうかという程度でした。
ただ、その“ごく一部”の方の対応には、多くの時間や職員の関わりが必要になることもありました。
周囲の理解に支えられていた場面もあった
利用者様が不安定なタイミングで、他の利用者様のご家族が面会に来られることもありました。
そんな時、ご家族の方が状況を察してくださり、別の入り口から静かに入館してくださったこともあります。
介護施設は、職員だけで成り立っているわけではなく、利用者様やご家族の理解に支えられていた部分も大きかったと感じます。
一緒に外を歩いたこともありました

実際に、利用者様の後ろを職員が見守りながら歩くこともありました。
途中でタクシーに乗ってしまい、職員も一緒に同乗したこともあります。
タクシーの中から施設に連絡して行き先を伝え、
あとから施設の車で迎えに来てもらったこともありました。
また、自宅が徒歩圏内にある利用者様の場合は、家まで一緒に歩いて行くこともありました。

携帯電話が普及している時代で、
ほんとうによかった!
時間とともに変化していく
最初は頻繁に外へ出ようとしていた方も、少しずつ状態が変化していきます。
環境に慣れて落ち着く場合もあれば、足腰が弱くなり、外へ出ること自体が難しくなる方もいました。
介護現場では、その時その時の状態に合わせながら対応していくしかない部分もあります。
「正解」があるというより、目の前の利用者様に合わせて、一生懸命対応していたという感覚でした。
当時は必死でしたが、振り返ると「あんなこともあったね〜」とスタッフ同士で話すこともありました。
入居により、家族関係が改善したケース
認知症の症状の物盗られ妄想によって、同居家族(息子さん夫婦)への不信感が強く、
「一緒に暮らせない!」と、自ら施設を希望された方もいました。
👉️認知症の進行と在宅の限界について、こちらの記事で詳しく解説しています
【入居前の面談の時】

財布がなくなる!
私の洋服もなくなる!
息子と嫁が盗っていくんだ!
部屋に鍵かけて、入れないようにしているのに!!
だからといって、入居後、家族関係が途切れたわけではありません。
お孫さんとの関係が良好だったので、お孫さんは面会に来られていました。
また、息子さん夫婦も面会はされませんでしたが、必要な物を届けるなど、距離感を調整しながら関わりを続けておられました。
介護では、「理想通りの家族関係」でいられないこともあります。
それでも、その時の状況に合わせながら、無理をしすぎない距離感を探していくことも大切なのかもしれません。
最初は面会が難しかった息子さん夫婦も、1年ほど経った頃には、少しずつ面会できるようになっていきました。

本人の反応や様子を見ながら、面会回数を増やし、
2年も経ったら、「ありがとね〜」と息子さんにお礼をおっしゃっていました。
親子の距離をおいたことで、関係性が改善したケースです。
施設に入ったことで、穏やかになることもある

「施設はかわいそう」と言われることもありますが、
実際には、無理をしていた生活から離れ、
穏やかな表情になった方もたくさんいらっしゃいますね
特に独居だった方の場合、
- 食事の心配
- 転倒の不安
- 夜間の不安
- 衛生面の心配
- 家族の介護負担 等
おひとりおひとり、心配事は違いますが、そうしたものが少し軽くなり、
家族が「介護する側」ではなく、また「娘・息子」に戻れたように感じる場面もありました。
本人の表情も、家にいた時よりも穏やかで、
「家にいた時より親子関係が良くなった気がします」
そんな言葉を聞くこともありました。
まとめ
介護施設へ入居すると、すぐにすべてが落ち着くわけではありません。
「帰りたい」という思い。
環境の変化への不安。
家族との距離感。
さまざまな感情が重なり合いながら、少しずつ新しい生活が作られていくのだと思います。
介護には、きれいごとだけでは済まない場面もたくさんあります。
それでも、時間の経過や周囲の支えによって、穏やかな関係へ変わっていくこともあります。
介護施設への入居を考えている方にとって、少しでも現場のリアルが伝われば嬉しいです。
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